リブラリウスと日々の記録(はてな版)

研究とかイベント運営とかの記録を淡々と。

卒業する司書課程の学生さんへ

こんにちは。今井福司です。

コロナウイルス感染拡大防止のため,本学では学位記授与式等に関わる行事を大幅縮小し,ついに学位記授与式も中止となってしまいました。

www.shirayuri.ac.jp

例年,卒業式とは別に司書課程の学生さんへ大学発行の司書免許状を手渡しするイベントをやっていたのですが,2020年3月についてはそれは行わないという決定となりました。卒業記念パーティーについても中止となりましたので,何か卒業生の学生さんにコメントする機会というのが急に無くなった次第です。

卒業する学生さんへ「おめでとう!よかったね」とお祝いするチャンスがないことや,何か一声かけられないこと,様々な事情からいろいろなことが困難になった旨は重々承知しております。そしてこちらが単位認定をして,資格を取り終えた学生さんに何かコメントするのは,もしかするとただの蛇足であり,教員の自己満足にしかならないのではとも思います。

そう迷いながらも別の形で学生さんにメッセージを伝えられないかな…と考えがここ2,3日はずっと頭をよぎっていました。そうだ本体ブログがあったなぁ…。ここに書いておけば誰かは読んでくれるかなと思いつきました。

毎年のように繰り返し言っているメッセージなので,こういう文章を公開すると,来年以降の卒業生から「先生,また昨年と同じ事を言ってる」とツッコまれるかもしれません。でも,今年の卒業生に何も言わないままなのも寂しいので,本当は言うつもりだった内容をこの場所に書いておきます。

現在の大学に着任して,最初の年からほぼ同じ言葉を卒業生の皆さんにかけています。

「大丈夫,もっと自信を持ちなさい」

司書課程を受講する学生さんは虚勢を張る人がほとんどおらず,「私は全然出来ないですから…」と謙遜している学生さんを何人も見てきました。もちろん,謙虚でよいと評価する方もいらっしゃるのかもしれませんが,私から見ていると,「本当は出来るのにもったいないなー」と感じていました。

司書は年間1万人が新たに取る資格で,様々な言われ方をしますが,少なくとも私自身は受講したからには,何か新しい観点や道具を手に入れてもらうつもりで,授業に臨んでいます。完璧にその意図が達成されるのは年間数えるほどしかないのですが,それでもちゃんと授業に出席している学生さんには,何か一つでも伝わればと思って授業を展開しています。

ほんの小さな進歩でしかないかもしれませんが,司書課程を取る前と今では何か違うものが身についた,もしくは何かを身につける環境が整ったと,少なくともそう私は考えながら,一人一人の単位認定をしています。確かに上を見ればキリがありませんが,それでも「自信を持ちなさい」と言う言葉は空手形ではなく,私としては根拠を持ったコメントだと考えています。

謙遜して下さった学生さんの仰るとおり,大学で学んだだけでは十分ではないのは確かです。司書の第一線で活躍する人たちは,知識や技術を常にアップデートし,出来ることの幅を日々広げています。一度勉強したから十分ではなく,何度も学び直して何度もやり直す必要があるのは,資格としては少々面倒な資格かもしれません。

でも図書館という場所は学び直したり,やり直したりするのにはもってこいの場所です。その使い方や活用例を司書課程を通じて,学生さんは数多く見ているはずですから,皆さんは初めて図書館を使おうとする人より,ずっとアドバンテージがあると私は思います。

もちろん資格を取っただけの知識やスキルが身についていることは当然かもしれませんが,仮に全く違う仕事に就いたとしても,私が授業したことで,いざ図書館を使おうとしたときの抵抗感や煩わしさのようなものが少しでも減らせたのであれば,これ以上の幸せはありません。

そして私の専門とする学校図書館にもし関わろうとする学生さんがいるのであれば,その抵抗感を減らす仕事は,今度は皆さんがやるべき仕事であることを強く認識してもらえれば幸いです。

大学教員としては,もっといろいろなことを書いておきたいと思うのですが,説教になるのも嫌なので,毎年と同じメッセージを書いて終わりにしておきます。

「大丈夫,もっと自信を持ちなさい」

皆さんのご活躍とご多幸を心よりお祈り申しあげます。

この度はご卒業まことにおめでとうございます。

2020年3月13日(金)

今井福司