リブラリウスと日々の記録(はてな版)

研究とかイベント運営とかの記録を淡々と。

【感想など】図書館を学問する なぜ図書館の本棚はいっぱいにならないのか

リアクションが遅れたことのお詫びなど

久しぶりのはてなブログです。著者の方からご恵贈頂いて、リアクション返すよーと申し上げていたのですが、作業できるはずの春休みや隙間時間がほぼ使えない状況が続いていました。

ようやく作業できる時間が20分できた(前期授業の終わりが見えてきた)のと、著者の佐藤さん*1が、6月29日(日)深夜にJ-WAVEデビューをされたということで、このタイミングでリアクションの書き込みをします*2

なお、こちらのJ-WAVEのラジオはタイムフリーで1週間は聞けるはず(課金すると30日間再生可能)ですので、ぜひ聴取していただければと思います。私は通勤中にタイムフリーで一気に聞いたのですが、話の区切りごとに音楽が入っていて、話題を自分の中で解釈したり、切り替えのきっかけとできたので、個人的には大変聞きやすかったです。

はじめに

佐藤翔さんは、私が大学院生だった時代からTwitterや対面の両方で存じ上げており、その当時から恐ろしい量のアウトプットを出していらっしゃる方です。別件でオープンアクセス系の人前でする発表のために文献収集をしていたら、当たり前のように複数媒体でお名前を見かけて、改めてすごいと一人で勝手に驚いておりました。

min2-fly.hatenablog.com

今回の書籍は、LRG(ライブラリ・リソースガイド)に掲載された記事を再構成したものです。すでに多くの方が取り上げている通り、図書館を対象とした研究について、「問い」を立てて調査をしていく取り組みが各章で行われています。 

www.seikyusha.co.jp

個人的には前書きの個所でさらっと書かれている図書館情報学とはという箇所に、注目しました。本書のはじめに(p. 14)では、

  1. 図書館学校の時代から続いてきた、図書館で働く専門職員(日本であれば司書)を養成するために、元図書館員を中心にした、実践的な知識を教える教員。
  2. 図書館が直面する課題について助言したり、積極的に提案したりするために、様々な手法を使った調査・分析の結果を公表する研究者
  3. 図書館とはあまり関係なく、対象の文献—あるいはその範囲を拡大して情報一般—について、コンピューターサイエンスではなく具体的な利用の仕方に着目し、情報検索・活用などの研究をする研究者。
とあり、ちゃんと学問自体の成り立ちが踏まえられていて、学生さんに勧める際にも大変嬉しい箇所でした*3

あとブログでの記述ですが、本書に関わって基礎を固めるために図書館分野の研究が大切だと仰っていただいているのも、同じ研究者として大変心強く、嬉しかったです。

いわば図書館学分野は超・ブルーオーシャン。取り組まれるべき研究テーマに満ちており、その多くは現場の実践にも役立ちそうで、単純に興味深くもあります。流行りのテーマではないのでアカデミアでは評価されにくいかもしれませんが……いや、でもそうか?
そうした基礎からしっかり固めておくことは、現代の「図書館情報学」においてもやはり重要なのではないか。そんな問題意識の下、「はじめに」の中では「この本を『新・図書館学序説』にする!」なんて大見えきったりもしています。

min2-fly.hatenablog.com

本文の内容など、詳細な内容はぜひ本書を手に取っていただければと思います。

全体として、これから卒論やゼミ論、修論を書く学生にぜひ読んでいただきたいと思いました。図書館に関わるトピックや問いについて、どんな観点が設定でき、研究方法はどんなものが考えられるのかが幅広く取り上げられているので、調査設計の段階での何か見落としていることがないかを確認できると思います*4

LRGに連載された記事であることから、アカデミックな内容を含みながらも、全体的に平易で読みやすい言葉で書かれていますが、この著書には膨大な量のインプットが必要なと思われます。佐藤さんは学部から院生時代には学術情報流通が中心のテーマだったと記憶しているのですが、教員になっても幅広い情報収集を行っていて*5、そのアンテナ感度の高さはただただ敬服する限りです*6

紹介が余りにも遅くなったので、とりあえず夏から後期にかけての非常勤先や講演会に本書を持参しつつ、宣伝しまくって来ようと思いますので、それで許していただければ幸いです。>佐藤さん

 

*1:一般的には先生ですが、一流の研究者であることから、敢えてリスペクトのためにさんづけをします

*2:ちなみに当初はnoteに書いていたのですが、ラジオの内容を聞いてはてなブログにUPした方がよろしいかと思って、急遽アカウント情報を引っ張り出してきました…。

*3:J-WAVEのラジオでもこの点が踏まえられていましたね。

*4:内容は図書館の内容ですが、社会科学系の調査であれば応用が利くと考えます。

*5:カレントアウェアネスの編集企画員を担当しているときに、佐藤さんは非常勤調査員だったかと思うのですが、その時もカバーしている情報の範囲の広さに圧倒され続けておりました…。

*6:といいながら、同じ大学教員である私もちゃんとしろというブーメランが各方面から飛んできそうです。