【レポート】第17回 #図書館総合展 出展者募集説明会(基調講演編)
さて。珍しく1日に2ポスト連投します。
先ほどの図書館総合展出展者募集説明会で,基調講演の部分を独立させると宣言したので,約束通り独立させて取り上げます。
【レポート】第17回 #図書館総合展 出展者募集説明会(今年の方針,ALAツアー編) - リブラリウスと日々の記録(はてな版)
先ほどのポストでも取り上げたとおり,説明会の基調講演は,帝京大学のメディアライブラリーセンターのグループリーダー中嶋康さんによる「共読ライブラリーから考える大学図書館の成長戦略と、図書館総合展に期待すること」でした。
図書館界では著名な実践であることから,ご存じの方も多いかと思います。簡単な紹介だけなんだろうなーとお話を伺う前には考えていたのですが,PCでメモを取っていくうちに,これはもっといろんな人に伝えなければという変な使命感がわいてきたので,以下,メモ書きですが記録を公開します。なるべく正確に書くように心がけましたが,聞き間違えとか,誤解とかが多分に含まれているかもしれませんので,その点はどうぞご容赦ください。
発表に先立って,帝京大学の学生に対して見せているという動画が流されました。
- 「読書は編集だ」というフレーズで始まり,各種の著名人が登場し,編集の重要性,若い世代のうちに,本を読むことの重要性が強調される映像が続きます。
- 意図としては,興味の無い学生がこちらの説明に対して集中してもらうことが意図だそうです。
今回の発表テーマは「共読ライブラリーから考える大学図書館の成長戦略と,図書館総合展に期待すること」とのこと。帝京大学は,全体で24000人の学生,八王子キャンパス16000人程度の学生数。
発表の構成は次の5点でした。
1:共読ライブラリーの全体像
コンセプトは「共読」。読み合い,薦め合い,評し合う
- 読書会をイメージするかと思うが,一番そこから離れたものを出来ればと考えていた。
- 本を読んで,その結果をアウトプットを共有し合うのも「共読」,おすすめの本を読み合うのも「共読」,全てを含めて「共読」としている。
- 「共読」の対立軸として「孤独」を挙げる方はいるが,それは対立しない軸ではないかと考えている。
- そもそも読書の歴史には音読も含まれる。「共読」という形が今は見られなくなったと言うのが正しいのでは。
- 本を読む時間が減ってくるのはSNSの発達などを考えれば当然,今までの読み方だけで良いのか,それよりも人が読んだ情報を活用したり,取捨選択をすることも読書の一つではないか。
- 目次だけ見て面白そうと思えば,いつかは手が出るのではないか。魅力的な本の情報が循環されることがされなければいけないのではないか。それが基本コンセプト
共読ライブラリーの目的
- MELICへ誘導する魅力的な仕掛けづくり
- 読書への誘引,読書の習慣化で主体的思考が出来る学生を育成
- 読書推進による貸出冊数の増加
- 学習基礎力の向上支援,アカデミックリーディングへの接続 …(本を読むことの実態を通して,連想や柔軟性を本を読むことでつけていくことで,アカデミックリーディングの基礎力として可能ではないか。)
- 「共読ライブラリー」によるブランディング …スポーツも学びも一緒に力を入れている大学だと打ち出す。
「読書がカッコよく見える演出」と「大学全体で読書する仕掛け」
- 2012年度より編集工学研究所と共に「共読ライブラリー」を開始。
- 4つのサブプロジェクト「黒板本棚」「MELIC BOOK CLUB」「共読環境」「読書術コース」を行っている。
- 黒板本棚: MONDO書架 …本棚が黒板になっている。
- MELIC BOOK CLUB: 共読サポーター(学生サポーター)
- 共読環境: 具体的なコメントを流通していく環境,空間を現実,Web上の両方で展開する。
- 読書術コース: 授業での連携
- 読書術コースでは(本の)帯を作るのが最終形としている。
2:共読ライブラリーの成長戦略
内と外へのアピール戦略
- 共読ライブラリーは全学プロジェクトとして始まっている
- 実際には学内認知は難しい。
- 様々な壁を越えていくためには,実績を積み上げていく一方,外からの評価を作っていくための戦略が必要。
- 図書館界の方は研修好きであり,チャンネルもあることから比較的アピールできる。一般へのアピール,受験生へのアピールがチャンネルがないことから難しい。
- 去年はかなりマスメディアに紹介されたが,オリジナルな企画で,一般受けする物語を持っていないと有名大学と違って取り上げてもらいにくい状況がある。
- 一般にわかりやすい,記事にしやすいトピックを持っていることが大切。コースウェアの所をいくら説明しても,MONDOの方がわかりやすいので,取り上げられやすい。
- 私たちの視点と一般の視点は異なるということを編集工学研究所の人と連携する中で気づいた。
3:総合展 見るから出るへの365日
なぜ総合展だったのか
- 外に出るチャンネルとして
出ることでどんなことが変わったか。
- 日常の仕事をどのように発信していくかという視点が意識されるようになった。
「見るから出る」でどんな変化が?
- 1年目は普通の書架(普段使っている書架)を持って行った。
- 2年目は建て込みを入れた。本みくじというイベントが出来た。2階に関係者のみも昇れるようになっていた(関係者のみ)。
- 3年目は2回へ誰でも昇れるようになった。上でワークショップ,下に本棚のディスプレイ。
- 帯作りワークショップの実施
- ビブリオバトル関東地区決戦を会場(スピーカーズコーナー)で行った。
4:図書館総合展への期待
外への発信はうまくいったのか。
期待していなかった成果(正確には予想していなかったけれども成果となった点というべきでしょうか)
- 共読サポーター(学生)が明らかに成長した。
- 大学生同士の交流のきっかけとなった*1。
5:お知らせ
College Mondo書店展開として,3月6日(金)より1ヶ月間,新宿紀伊國屋書店本店3階催事コーナーにて,「水道橋博士とMONDO」のイベントが行われるようです。まだこの執筆時にはWebが公開されていませんが,URLが出次第,付きしたいと思います。
ということで,メモは以上です。およそ40分程度の発表だったのですが,終わってから誰か連れてくれば良かったと思いました。大学の戦略と連動して図書館の企画を立てるとか,一般向けのアピール*2とか,色々示唆に富んだプレゼンだったからです。実はまだ共読ライブラリーさんへは総合展のブースも含めて伺えていないので,今年の総合展こそ,きちんと伺えればと思っています。