(2018年版)初めて #図書館総合展 に行く予定の学生さん,職員さんへ
ども。今井です。
図書館総合展まで,あと二週間を切りました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて,昨年書いた図書館総合展入門記事ですが,昨年の記事だとみてくれない可能性があるので,アップデートしながら再投稿します。
0.何のために行くのか
図書館総合展に興味を持っている方は,何のために図書館総合展に行くの,というかそれ美味しいの?という方は流石にいないと思いますが,行かない方に何しに行くのかと聞かれた時用のテンプレートをおいておきます。
真面目な話が通じる方向け
- ブースには図書館や学術情報に関わる企業や団体が沢山出展している。将来の就職活動に向けて,業界研究するため
- フォーラムを通じて図書館や学術情報に関わる最新の動向がつかめる。自分自身の知識を深めるため
- 学生向けにはブースを巡る学生ツアーが用意されていて,1人で行っても孤立しない。
- 図書館や学術業界の最先端を走っている方達とコミュニケーションを取るため
やや疑いの目を向けられた場合向け
- 図書館や学術情報に関わる企業や団体が100以上出展している。年1回しかない,業界最大手のイベントである。
- 来場者は昨年3万人を超えていて,6700平方メートルの会場に展示ブースがひしめき合っている。短時間ではまわりきれないほどの情報が詰まっている。
- 図書館総合展運営委員会は大学教員や企業の責任者が多く参加しており,そもそも怪しい集まりではないし,そもそも入場料は無料だし,展示ブースを巡る展示ブースツアーも参加無料で,初心者大歓迎。
ノリで何とかなるパターン
- ともかく楽しそうだから,行ってきます!
1.会場への行き方
とりあえず,みなとみらい線(東急東横線)の「みなとみらい」駅を目指しましょう。JR根岸線(京浜東北線)の「桜木町」駅からも行けますが,歩きながら冬の横浜を満喫したいという人以外は,「みなとみらい」駅を推奨です。新宿から湘南新宿ラインの接続が良ければ,乗り換え含めても大体45分〜60分ぐらいで到着しますし,渋谷からだと東急東横線の特急乗り換えなしで31分です。
みなとみらいの駅からは,徒歩3分とありますが,今回の会場は展示ホールDというパシフィコの中でも一番駅から歩くポイントなので,ゆっくり歩く人は10分ぐらいは見ておいた方が安全でしょう。
横浜線で橋本・八王子方面からいらっしゃる場合は,菊名で東急東横線乗り換えが良いでしょう。
新幹線で静岡以西からいらっしゃる方は,横浜市内の駅ならどこでも下車できる特定区間の切符をお持ちの場合が多いかと思うので,新横浜から横浜線に乗り換えてそのまま横浜まで出ましょう。
新横浜からの乗り換えについては,接続が悪い場合が多いので,上記の所要時間に+20分しておけば安心して移動できるかと思います。高速バスだと横浜はYCATというターミナルに着きます。多少歩きますので,こちらも所要時間を少し余裕を持って見積もっておくと良いでしょう。
YCAT(横浜シティ・エア・ターミナル)のオフィシャルページ
パシフィコ横浜へのアクセスは公式Webにも出ていますが,お勧めは下記のWebサイト。間違えやすいポイントの説明があるだけでなく,展示ホールへおりるエスカレーターまでちゃんと指摘されています(なお総合展は展示ホールDでいちばん左側の奥です)。
2.招待券のゲットの仕方
図書館総合展では,入り口の所に警備員さんがいて,入場パスをチェックしています。入場パスがないと会場には入れませんので,注意して下さい。この入場パスは入り口で招待券と引き替えになります。
えっ?招待券なんか持っていないよという方,大丈夫です。入り口にテーブルと招待券の束がおいてありますので,そこで記入してから受付に持っていけばちゃんと入れます。
ただし,住所とかを記入する欄が多いですし,色々ブースやフォーラムの事前情報が載っているので,事前にゲットしておくことをお勧めです。もし,自分の大学で,フォーラムとかブースを出している先生やポスターセッションに出展している図書館の人がいたら,「ありませんか?」と聞けば,余っているはずなのでたぶん快く譲ってくれるはずです。
招待券をゲットしたら,まずはフォーラムとブースのページを見てみましょう。たくさん数がありますね。そして,フォーラムのページを開けて,面白そうなのがないかなーと探してみることをお勧めします。もしフォーラムに参加できる時間があるならば,Webから参加登録もしてしまいましょう。おそらく,どのフォーラムも大学のレポートだったら,確実に1本は書けるネタを提供してくれますので,確実に元は取れます(ぉ。
3.名刺を作っておこう!
図書館総合展で,学生さんにお勧めしておきたいのは自分の名刺を作っておくことです。「総合展の展示ブースでは名刺が貨幣代わりである」という格言があるくらいです*1。冗談はさておき,興味を持った展示ブースで色々資料を頂いてくる時には,「お名刺を頂戴できますか?」と高確率で言われますし,そうでなくても新しく知り合った方と連絡先を交換するときに大変便利ですので,名刺は持っておいて損はありません。
職員さんは職場の名刺を持ってきた方がいろいろ便利です。カタログとかほとんどの場合,名刺と交換になりますので。
3.1 自作名刺のススメ
お店で1からちゃんと作ろうとすると結構高くなってしまいがちなので,名刺なんか作ったことがないよーという学生さんにお勧めなのが,自作の名刺です。
例えば,文房具屋さんに割とおいてあるインクジェットプリンタ用の名刺用紙を1セット買ってきます。とりあえずインクジェット用であれば何でも大丈夫ですが,ここではA-ONEさんの名刺用紙をお勧めしておきます。(51002とか,インクジェットプリンタで売っているのなら何でも大丈夫です。大体1000円も出せばおつりが来ます。)
A-ONEさんの用紙がお勧めなのは,「ラベル屋さん」というこの用紙専用のラベル・シール作成ソフトが無料で使えることです。インターネットとインクジェットプリンタにつながったパソコンなら,用紙さえ買ってくれば,すぐ名刺が作れます。
もし名刺に何を書いたら良いか分からないと言う学生さんは,とりあえず,ラベル屋さんのテンプレートを見ながら,色々考えましょう。こまったら,Google 画像検索で「名刺 学生」とか入れて探すと,よさげなサンプルがいくつか見つかります。
あと,最近ではネットの業者さんでテンプレートにちゃちゃっとデータを入れると安価でかつ迅速に送ってくれる業者さんもありますので,検討してみてはいかがでしょうか。名刺がないですと挨拶するよりはあって渡せた方が100倍よいです。
3.2 名刺に何を書くの?
基本的には,名前と所属,それからメールアドレスはしっかり書いておきましょう。あと,TwitterとかFacebookも書ける場合は書いておいたり,興味のある分野とか自己アピールが書ける人はどんどん書いておきましょう。なお,メールアドレスは今自分が使っているスマホや携帯のアドレスをいきなり書くよりは,大学のアドレスを書いたりした方が良いかと思います。スマホや携帯のアドレスは変わってしまって連絡が取れなくなることが多くて迷惑をかけてしまう場合があるかもなので。
あと,女性とかで変なメールが来たら困るな…という方は,図書館総合展用に新しくYahoo!やGoogleでメールアドレスを取得するというのも手です。ただし,図書館総合展が終わってから,2週間くらいはちゃんとチェックしておきましょう。もしかしたら知り合った方からメールが来ているかもしれませんので。
職員さんの場合は,特に支障が無い限り,職場の名刺を持ってきて配りましょう。用意が無いと学生さんからもらったときにお返しできなくて,ちょっと恥ずかしい思いをするかもです。
4.会場へ入ったら何をしたら良いの?
今年も受付でガイドブック・・・ではなく,公式アプリでの配信となりました。アプリをインストールして情報を眺めながら,展示ブースを色々眺めて歩きましょう。おそらく,大学の司書課程の授業を取っているだけでは分からない,多種多様なお仕事が並んでいることが分かります。大学2〜3年生のかたは,就職のための業界研究だと思って,知らない企業でも何をやっているところなのかくらいは掴んでくることお勧めです。初めての職員さんは,こういう関連企業があるのかと言う情報収集と共に,最先端のサービスに触れて刺激を受ける場として頂ければとても嬉しいです。
ちょっと企業さんのブースはコワいなという方は,ポスターセッションを見て回りましょう。学生さんがポスター展示をしていたりしますし,色々な情報収集にはもってこいです。
それから,今年はコミュニケーションブースで大学の先生が複数ブースを出しています。私は,白百合女子大学や青山学院大学,その他非常勤先の学生さんでなくても,ウェルカムですので,会場で見かけたら声をかけて下さい。無視したら後ろから跳び蹴りをしていただいてもOKです(ぉ
それから,展示ブースに一人で行くのがコワいという方,そういう方にお勧めなのが,展示ブースツアーです。大学の教員が引率して,見ておくべきブースを紹介して回ります。今からでも申し込みは間に合いますので,一人ではコワいという方はぜひどうぞ。
時間帯によって対象者が違いますので,ご確認の上,お申し込みくださいませ。
5.では会場でお目にかかりましょう!
図書館界の一大イベント図書館総合展。10月30日(火)〜11月1日(木),パシフィコ横浜展示ホールDで,学生の皆さんとお目にかかれるのを楽しみにしています。
6.イマイの今年のお役目
オマケとして,イマイが今年関わっているブースやイベントを列挙しておきます。
八洲学園大学さん,都留文科大学さんと共同でブースを出してます。何もないときはこのブース周辺にいます。チロルチョコがもらえるかも。
今年もゲーム部のお手伝いをさせて頂いております。見ているのも楽しい,触ってみるのも楽しいイベントです。
◆キットパスでウェルカムボードを作ってPRに活用しよう![会場内 メーカーズラボ] | 図書館総合展
明日から使えるウェルカムボードを作成する企画,講師代+材料代が3500円かかりますが,その代わり何も用意しなくても板から画材まですべてこちらで用意いたします。MAX20名ですので,お早めのお申し込みを。
クラウドファンディングによる図書館の可能性 | 図書館総合展
今年はフォーラムにも登壇します。1本目がこちら。SLiiiCで取り組んだクラウドファンディングのお話をします。
「図書館 これまでの20年とこれからの20年」 | 図書館総合展
3日目の最後に,展示会場内で行われるフォーラムです。これからの20年を生意気にも語ってきます。
図書館総合展の会場で皆さまにお目にかかれるのを楽しみにしてます。それでは。
*1:嘘つきました。ごめんなさい。
総合展ラジオ2ndシーズン第2回目公開+前回のご紹介など
どうも。今井です。
本体ブログの方はかなりご無沙汰でした。既に今年の3分の1が終わろうとしていますが,色々あがいております。
さて,本業と趣味を兼ね,研究室で眠っている音響機材を有効活用するため,図書館総合展運営委員会のご協力を得て毎回実施しております「総合展ラジオ」ですが,2018年も続くことが決定しました。
ちょうど,昨日2018/04/29にセカンドシーズンの第2回目(通算7回目)を公開しました。何か作業しながらのながら聞き,BGMとしてお使い下さい。今回は,図書館総合展運営委員会の委員長と事務局長をゲストに迎え,総合展の歴史や今年のラインナップの紹介,締め切りが連休明けの5月7日(月)に迫った「ALA・米国図書館研修2018」のPRをして頂きました。
図書館総合展は今年で第20回目となります。歴史もちょっとだけ触れていますので,ぜひお聞き下さいませ。
それから,ブログでの告知を忘れていましたが,セカンドシーズン第1回目(通算第6回目)の公開も既に行っています。「図書館とゲーム」というホットな話題について,
「フリーの図書館員」高倉暁大さんと,「謎のボードゲーマー」きゅんさんを招いてトークを行っています。
この回は盛り上がりすぎて,スピンオフ企画,初心者のためのゲーム講座というコンテンツが出来上がるほどの出来でした。
3つ合わせると2時間近く楽しめるコンテンツとなっておりますので,GWの時間つぶしにでもお使い頂ければ幸いです。
ではでは。
【御礼とまとめ】2017年を振り返って
どうも。今井です。
2017年もお世話になりました。昨年はこの時期ゆっくりしていたような気がするのですが今年はなんだかんだでこの時間までまだ仕事しております。ただうっかりすると,今年の振り返りができなくなるので,仕事の合間を縫って記事を追加します。時間が無いのですが,準備しておいたので趣味バージョンもまとめてこちらに掲載します。
【お仕事編】
- 日本図書館情報学会の事務局長になりました。
裏方なのであまり表にでないことなのですが,私的には一番のニュースでした。大学院時代よりずっと私を育ててくれた学会なので,個人的にはなんだか恩返しができて嬉しい限りです。ザ・裏方作業なのでこの場ではあまり申しあげられないのですが,慣れない作業も多くあって他の常任理事の皆さまにはかなりご迷惑をおかけしたことが数々ございますし,冷や汗をかいたのは一度や二度ではございません。周りの皆さまの温かいヘルプがあってこそ,何とか年末までたどり着きました。3年仕事なので,来年はもうちょっと仕事に慣れて冷や汗をかかないようにしたいと思います。あ,さりげなくですがこの大晦日に学会WebサイトがWordPressに移行していたりします。旧学会Webサイトのリンクを張っておきましたのでどぞ。
- 総合展ラジオはじめました。
今年は総合展がらみでまたもや新企画を始めました。なぜか3ヶ月経つと音響機材が追加されている今井研究室の私物機材を使わないともったいないので企画した図書館総合展を大いに盛り上げるためのラジオ番組,総合展ラジオです。この企画を考案して下さった謎の大学図書館員,松野渉さんの名パーソナリティーのおかげで,単発企画では終わらず,何と5本も番組を作ることができました。来年度も継続が決定したので,また作成できたら順次公開したいと思います。
総合展ラジオ - YouTube - 新潟県で研修会講師をやってきました。
こちらはついこないだの出来事ですが,依頼から数えると実は結構長い時間取り組んでいた話です。ブログでは詳細な情報を書けなかったのですが,新作ネタをきちんと発表して参りました。学校図書館の研修会としては,校長先生も司書教諭も学校司書さんも皆さんが揃っている素晴らしい会でして,会が終わった後に会場の司書教諭の方,学校司書さん,そして校長先生から的確なご指摘を頂ける講師としてはとても幸せな空間でありました。帰りの新潟駅で食べた炊き込みご飯と日本酒の味はたぶんしばらく忘れないと思います。講演の様子は全てYouTube公開して,当日配付資料も全部公開しているので今からでも是非ご覧頂ければ幸いです。
- 図書館雑誌に2本記事を寄稿しました。
あまり派手に広報できませんでしたが,図書館雑誌に2本記事を寄稿しました。学校図書館におけるSNSの活用はずっと私が関心を寄せているテーマなのですが,学校のICT環境がここ何年か停滞気味なこともあって,最後のオチは思わずああせざるを得なかった率直な意見表明となっています。正直このオチで良いのかと思っていたのですが,先日とある方から率直で良かったとの話を頂き,ホッとしている次第です。小規模校の司書課程における学校司書のモデルカリキュラムの開設については,こちらも素直に書ける範囲で書いたので機会があれば是非ご覧下さいませ。
CiNii 論文 - 学校図書館におけるSNSの活用 (特集 SNS時代の図書館)
CiNii 論文 - 小規模校の司書課程における学校司書のモデルカリキュラムの開設について (特集 学校司書養成モデルカリキュラム)
-
教科書の1章分を担当しました。
こちらもきちんと広報できなかったのですが,八千代出版さんから出版された『学校図書館への招待』という本で第2章:学校図書館発展の過程という章を執筆しました。少ないページ数ですが,学校図書館史のことをもりもり書いています。他の章もとても魅力的なので,是非ご覧下さいませ。お誘いいただいた田嶋知宏先生,河内祥子先生には深く御礼申しあげます。 - 情報資源組織演習に関する記事を寄稿しました。
こちらもちゃんと広報していなかったのですが(今年こんなんばっかりや・・・),本務先で担当している情報資源組織演習の内容をぜひ大学院向けに講義してほしいとのオファーを頂きました。授業後,ぜひその内容を書籍の一部にとのことでしたので,原稿を執筆して,有能なO先生の校正をバッチリ頂きまして,今年3月に無事出版されました。「情報資源を組織するとは―図書館における主題分析,分類,件名から考える」という題名です。こちらも是非。
- 図書館総合展20162017*1を無事開催できました。
今年も図書館総合展で,これだけの仕事をしていたようです。
・学生ツアー
・自大学ブース出展
・メーカーズ・ラボ「ウェルカムボード」
・総合展ラジオ収録
・学生協働サミット撮影役
一緒に参加してくれる学生さん達の楽しそうな顔に励まされて,3日間走り抜けました。来年もさらに改良を加えてあの場に挑みたいと思います。 - SLiiiCで関西遠征をしました。
そのうち,SLiiiCのWebサイトで公開されるかと思いますが,9月に大阪豊中市立図書館に遠征して見学をしておりました。面白い活動をやっていたので,広報したいと思っていたら,ちょうどタイミング良くカレントアウェアネス-Eさんに記事が掲載されていました。学校図書館にも繋がる活動だなと思いながら,刺激的な見学時間を過ごしました。豊中市の皆さまありがとうございました。
- 東京学芸大学「学校図書館活用データベース」報告会の映像編集をしました。
大学院時代より応援している東京学芸大学学校図書館活用データベースの報告会,今年もビデオカメラとマイクを抱えて撮影してきました。何とか年内に間に合いまして,映像配信が始まりました。下記のリンクからどぞ。
12月23日に開催した、文科省事業報告会「みんなで使おう!学校図書館Vol/9」の模様を、1月末まで動画配信中です。希望する方は、当サイトトップ画面より申し込みができます。ぜひ多くの皆様のご意見をお待ちしています。https://t.co/aDiAXZdr2M pic.twitter.com/Yp6NrDSvPp
— 授業に役立つ学校図書館活用データベース (@schoolibdb) 2017年12月29日
他にもたくさんの仕事をやってきたのですが,ひとまず思い出に残っている順から挙げていくとこの9個に収まるかなと思います。毎度のことですが,本務先や非常勤先での学生さんとの講義や演習でのやり取りは個々のエピソードが書けないため,ここには載せませんでしたが,今年一番の時間を割いた活動であることは言うまでもありません。おつきあい頂いている学生さん達には感謝感謝です。
【趣味編】
- 38公演,67ステージの舞台を拝見しました。
最近演劇の感想ログの方を楽しみにしていますとのコメントを頂き,ただただ驚いていますが,今年も演劇をたくさん観てきました。昨年比21ステージプラスで毎月2本は必ず見ていたとのことで,もう何も言うことはありません。8月から大阪に毎月遠征しているような気がしますが,まあ文句なし。どうだい。
演劇やコンサートやプロレスの観劇・鑑賞・観戦記録(2010年以降) - リブラリウスと趣味の記録
Corichさんで舞台芸術アワードというのを開催していたので,今年も投票してきました。結果として,今年も劇団ショウダウンさんと劇団壱劇屋さんに加えて,劇団「劇団」さんと劇走からまわりえっちゃんさんがランクインしました。ただ,ランキングのコメントでも申しあげたように,今年拝見したどのステージも終了後には大満足であった事を申し添えておきます。どんなものでも何かを作れる人はスゴい人達です。
-
実家のデスクトップPCを8年ぶりに新しくしました。
Mac mini (Late 2009)で全く作業に支障は生じていなかったのですが,自宅NasneをBDに焼くという作業だけがどうしても叶わなかったので,お金を珍しくかけて新品のPCをBTOで買いました。ドスパラ製です。写真はたぶん本邦初公開。 - 劇団壱劇屋さんの終演後の舞台で写真を撮ってもらいました。
幸せそうな顔ですね。クラウドファンディングのお返し品として舞台上で写真撮影をしてもらいました。主役の小田切にあわせてフォーマルスーツにえんじ色のネクタイをしていきました。一生の宝物です。こんな魅力的なことをしてくれる劇団さんだからこそ,五ヶ月連続公演大阪のみでも全部駆けつけたくなります。
- Adobe税を払いました。
全文略。タイトル通りです。Premiereで映像編集が楽になって嬉しい限りです。 - 横浜DeNAベイスターズ日本シリーズ進出!
良い思いをさせてもらいました。大阪の学会の夜に日本一を逃す試合を横浜ではなく大阪で見なければならなかったことを除けば。 - 免許とりました。
AT限定ですが,普通自動車免許を取りました。大晦日の日まで大活躍の免許であります。
今井福司(リブラリウス) on Twitter: "番号ありましたー!無事普通免許取得できました。ありがとうございました。"
【まとめ】
- 今年も夢が叶った1年でした。感謝。一人じゃできないことを様々な助けを借りて成し遂げられました。感謝感謝。しかも来年に向けてさらに夢が叶えられるチャンスをたくさん頂きました。感謝感謝感謝。
- でも研究はちゃんと進められなかったので,やりたいことを全部やって,さらに研究もちゃんとやるスーパーマンを来年は目指したいと思います。
ではでは,残り僅かですが,皆さま良いお年を。2018年もどうぞよろしくお願いします。
*1:昨年の記事をコピペして横着してはいけませぬ・・・。
平成29年度新潟県高等学校図書館協議会第7回研究大会で講演してきました。
どうも。今井です。
事前の告知は行っておりませんでしたが,新潟県高等学校図書館協議会で講演会の講師を担当して参りました。かなり前からオファーを頂いていたのですが,なかなか当日までテーマが決まらなくて事務局の方にはだいぶご迷惑をおかけしました。
講演会の様子
www.youtube.com(2017/12/06 12:13追記:YouTubeの動画を載せました。)
発表スライド
当日のスライドはこちらです。
学校図書館が周りとつながるために: 学習指導要領改訂と学校図書館を取り巻く状況の変化を踏まえて // Speaker Deck
当日資料
当日配付資料はこちらです。レジュメよりも参考資料の方が増えるといういつもの悪い癖が出ております。
ちょっと話題を拡散させすぎたかなぁと思いつつ,現時点で出せる内容は出せたかと思います。このあとアンケートをみながら,一喜一憂しつつ追記できれば幸いです。
#総合展ラジオ 第5回目と #総合展ラジオアーカイブシリーズ 第1回目を公開しました。
どうも。今井です。
図書館総合展からもうすぐ1ヶ月が経とうとしている中,振り返り記事の一つも掛けないくらい忙しい生活を送っております。有り難いことです。
さて私の思いつき半分で始まった図書館総合展を大いに盛り上げるためのラジオ番組,総合展ラジオですが,あの忙しい図書館総合展の期間中に公開収録を敢行しました。このたび,映像と音声編集が完了しました。
第5回目の紹介に入る前に,今回は下記の番組を先に紹介いたします。いろいろな事情によって,今回図書館総合展でのYouTubeによるフォーラム中継がなくなったのですが,音声だけでも様子が伝えられればと思い,総合展ラジオアーカイブシリーズというものをはじめてみました。第1回目で終わるかも知れませんが,フォーラムの音声記録がUPできればと思っています。
第1回目は2017年の図書館総合展2日目にスピーカーズコーナーBで行われた「図書館とゲームの繋がりを探る」の様子をそのままお届けします。マイクが繋がっているミキサーにPCMレコーダーを接続してそのまま録音した音声なので,とてもクリアに取れています。音声だけでも様子が伝わるかと思いますので,是非ご確認下さい。
総合展ラジオの第5回目はこのミニフォーラムの直後に,そのまま図書館ゲーム部のブースで収録したアフタートークを中心に収録しています。 ナイスなMC松野さんがミニフォーラムでは取り上げきれなかった内容を巧みに拾ってくれています。ゲストのオーレさん,高倉さん,佐藤さんも顔出しOKだったので,YouTubeではお顔が拝見できるようになっています。是非ご確認下さい。
それから,これまでの総合展ラジオの放送については,全てMP3ファイルで音声ファイルをダウンロードできるようになりました。これで通勤途中でも,台所仕事の最中でも聞きやすくなりました。是非お試し下さいませ。
お陰様で,業界人を中心にご好評頂いているようですので,総合展ラジオは次回制作が決定いたしました。ゲストさんなどはこれから調整するのですが,引き続きご贔屓にして頂ければ大変嬉しいです。
総合展の振り返り記事などはまた落ち着いたら打ち込みたいと思います。では今日はこの辺で。
(2017年版)初めて #図書館総合展 に行く予定の学生さん,職員さんへ
ども。今井です。
図書館総合展まで,あと10日を切りました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて,以前学生さんのために書いた図書館総合展入門記事ですが,2年経過したので,色々変更点がありましたので,アップデートしながら再投稿します。なお,今年は図書館総合展のブースツアーが学生さん以外でも参加可能な時間帯ができましたので,タイトルもちょっと変更してみました。
0.何のために行くのか
図書館総合展に興味を持っている方は,何のために図書館総合展に行くの,というかそれ美味しいの?という方は流石にいないと思いますが,行かない方に何しに行くのかと聞かれた時用のテンプレートをおいておきます。
真面目な話が通じる方向け
- ブースには図書館や学術情報に関わる企業や団体が沢山出展している。将来の就職活動に向けて,業界研究するため
- フォーラムを通じて図書館や学術情報に関わる最新の動向がつかめる。自分自身の知識を深めるため
- 学生向けにはブースを巡る学生ツアーが用意されていて,1人で行っても孤立しない。
- 図書館や学術業界の最先端を走っている方達とコミュニケーションを取るため
やや疑いの目を向けられた場合向け
- 図書館や学術情報に関わる企業や団体が100以上出展している。年1回しかない,業界最大手のイベントである。
- 来場者は昨年3万人を超えていて,6700平方メートルの会場に展示ブースがひしめき合っている。短時間ではまわりきれないほどの情報が詰まっている。
- 図書館総合展運営委員会は大学教員や企業の責任者が多く参加しており,そもそも怪しい集まりではない*1し,そもそも入場料は無料だし,展示ブースを巡る展示ブースツアーも参加無料で,今年から学生さんでなくても参加可能。
ノリで何とかなるパターン
- ともかく楽しそうだから,行ってきます!
1.会場への行き方
とりあえず,みなとみらい線(東急東横線)の「みなとみらい」駅を目指しましょう。JR根岸線(京浜東北線)の「桜木町」駅からも行けますが,歩きながら冬の横浜を満喫したいという人以外は,「みなとみらい」駅を推奨です。新宿から湘南新宿ラインの接続が良ければ,乗り換え含めても大体45分〜60分ぐらいで到着しますし,渋谷からだと東急東横線の特急乗り換えなしで31分です。
みなとみらいの駅からは,徒歩3分とありますが,今回の会場は展示ホールDというパシフィコの中でも一番駅から歩くポイントなので,ゆっくり歩く人は10分ぐらいは見ておいた方が安全でしょう。
横浜線で橋本・八王子方面からいらっしゃる場合は,菊名で東急東横線乗り換えが良いでしょう*2。ただし,新幹線で静岡以西からいらっしゃる方は,横浜市内の駅ならどこでも下車できる特定区間の切符をお持ちの場合が多いかと思うので,新横浜から横浜線に乗り換えてそのまま横浜まで出ましょう。新横浜からの乗り換えについては,接続が悪い場合が多いので,上記の所要時間に+20分しておけば安心して移動できるかと思います。高速バスだと横浜はYCATというターミナルに着きます。多少歩きますので,こちらも所要時間を少し余裕を持って見積もっておくと良いでしょう。
YCAT(横浜シティ・エア・ターミナル)のオフィシャルページ
パシフィコ横浜へのアクセスは公式Webにも出ていますが,お勧めは下記のWebサイト。間違えやすいポイントの説明があるだけでなく,展示ホールへおりるエスカレーターまでちゃんと指摘されています(なお総合展は展示ホールDでいちばん奥です)。
みなとみらい駅からパシフィコ横浜の「ハンドメイド・メイカーズ」会場への行き方 - ハンドメイド作家お助け隊
2.招待券のゲットの仕方
図書館総合展では,入り口の所に警備員さんがいて,入場パスをチェックしています。入場パスがないと会場には入れませんので,注意して下さい。この入場パスは入り口で招待券と引き替えになります。
えっ?招待券なんか持っていないよという方,大丈夫です。入り口にテーブルと招待券の束がおいてありますので,そこで記入してから受付に持っていけばちゃんと入れます。
ただし,住所とかを記入する欄が多いですし,色々ブースやフォーラムの事前情報が載っているので,事前にゲットしておくことをお勧めです。もし,自分の大学で,フォーラムとかブースを出している先生やポスターセッションに出展している図書館の人がいたら,「ありませんか?」と聞けば,余っているはずなのでたぶん快く譲ってくれるはずです。
招待券をゲットしたら,まずはフォーラムとブースのページを見てみましょう。たくさん数がありますね。そして,フォーラムのページを開けて,面白そうなのがないかなーと探してみることをお勧めします。もしフォーラムに参加できる時間があるならば,Webから参加登録もしてしまいましょう。おそらく,どのフォーラムも大学のレポートだったら,確実に1本は書けるネタを提供してくれますので,確実に元は取れます(ぉ。
3.名刺を作っておこう!
図書館総合展で,学生さんにお勧めしておきたいのは自分の名刺を作っておくことです。昨年も申し上げましたが「総合展の展示ブースでは名刺が貨幣代わりである」という格言があるくらいです*3。冗談はさておき,興味を持った展示ブースで色々資料を頂いてくる時には,「お名刺を頂戴できますか?」と高確率で言われますし,そうでなくても新しく知り合った方と連絡先を交換するときに大変便利ですので,名刺は持っておいて損はありません。
3.1 自作名刺のススメ
お店で1からちゃんと作ろうとすると結構高くなってしまいがちなので,名刺なんか作ったことがないよーという学生さんにお勧めなのが,自作の名刺です。
例えば,文房具屋さんに割とおいてあるインクジェットプリンタ用の名刺用紙を1セット買ってきます。とりあえずインクジェット用であれば何でも大丈夫ですが,ここではA-ONEさんの名刺用紙をお勧めしておきます。(51002とか,インクジェットプリンタで売っているのなら何でも大丈夫です。大体1000円も出せばおつりが来ます。)
A-ONEさんの用紙がお勧めなのは,「ラベル屋さん」というこの用紙専用のラベル・シール作成ソフトが無料で使えることです。インターネットとインクジェットプリンタにつながったパソコンなら,用紙さえ買ってくれば,すぐ名刺が作れます。
もし名刺に何を書いたら良いか分からないと言う学生さんは,とりあえず,ラベル屋さんのテンプレートを見ながら,色々考えましょう。こまったら,Google 画像検索で「名刺 学生」とか入れて探すと,よさげなサンプルがいくつか見つかります。
あと,最近ではネットの業者さんでテンプレートにちゃちゃっとデータを入れると安価でかつ迅速に送ってくれる業者さんもありますので,検討してみてはいかがでしょうか。名刺がないですと挨拶するよりはあって渡せた方が100倍よいです。
*【2017/11/03 21:53追記】ASKULは法人登録のハードルがあるので,デザインパックにリンクを差し替えました。*
3.2 名刺に何を書くの?
基本的には,名前と所属,それからメールアドレスはしっかり書いておきましょう。あと,TwitterとかFacebookも書ける場合は書いておいたり,興味のある分野とか自己アピールが書ける人はどんどん書いておきましょう。なお,メールアドレスは今自分が使っているスマホや携帯のアドレスをいきなり書くよりは,大学のアドレスを書いたりした方が良いかと思います。スマホや携帯のアドレスは変わってしまって連絡が取れなくなることが多くて迷惑をかけてしまう場合があるかもなので。
あと,女性とかで変なメールが来たら困るな…という方は,図書館総合展用に新しくYahoo!やGoogleでメールアドレスを取得するというのも手です。ただし,図書館総合展が終わってから,2週間くらいはちゃんとチェックしておきましょう。もしかしたら知り合った方からメールが来ているかもしれませんので。
4.会場へ入ったら何をしたら良いの?
今年は受付でガイドブック・・・ではなく,公式アプリでの配信となりました。アプリをインストールして情報を眺めながら,展示ブースを色々眺めて歩きましょう。おそらく,大学の司書課程の授業を取っているだけでは分からない,多種多様なお仕事が並んでいることが分かります。大学2〜3年生のかたは,就職のための業界研究だと思って,知らない企業でも何をやっているところなのかくらいは掴んでくることお勧めです。初めての職員さんは,こういう関連企業があるのかと言う情報収集と共に,最先端のサービスに触れて刺激を受ける場として頂ければとても嬉しいです。
ちょっと企業さんのブースはコワいなという方は,ポスターセッションを見て回りましょう。学生さんがポスター展示をしていたりしますし,色々な情報収集にはもってこいです。
それから,今年はコミュニケーションブースで大学の先生が複数ブースを出しています。私は,白百合女子大学や青山学院大学,その他非常勤先の学生さんでなくても,ウェルカムですので,会場で見かけたら声をかけて下さい。無視したら後ろから跳び蹴りをしていただいてもOKです(ぉ
それから,展示ブースに一人で行くのがコワいという方,そういう方にお勧めなのが,展示ブースツアーです。大学の教員が引率して,見ておくべきブースを紹介して回ります。今からでも申し込みは間に合いますので,一人ではコワいという方はぜひどうぞ。
時間帯によって対象者が違いますので,ご確認の上,お申し込みくださいませ。
あと,事前の情報収集は総合展ラジオがオススメです。何と第4回目まで無料で聞けます!これを聴いてワクワクしながら会場へと向かいましょう。
5.では会場でお目にかかりましょう!
図書館界の一大イベント図書館総合展。11月7日(火)〜11月9日(木),パシフィコ横浜展示ホールDで,学生の皆さんとお目にかかれるのを楽しみにしています。
それでは。
【書評のようなもの】岡部晋典編『トップランナーの図書館活用術 才能を引き出した情報空間』勉誠出版, 2017.
どうも。今井です。
0.まくら
本を作るのってとても大変なことだなと,ふと思い出したりします。もちろん著者も大変なのですが,それを支える編集さんとか営業さんとか印刷屋さんとか,大変な人たちが一杯です。枕話で宣伝をして恐縮ですが,勉誠出版さんのご厚意で出版に至った単著が絶賛発売中です。皆さま近くの書店で是非お求め下さいませ。
1.ここから本論
閑話休題。
私と共著論文を出したり,共同発表者にもなったことがある戦友,岡部晋典さん。何と私と同じ勉誠出版さんから単著を公刊いたしました。その名も『トップランナーの図書館活用術:才能を引き出した情報空間』です。
トップランナーの図書館活用術 才能を引き出した情報空間 (ライブラリーぶっくす)
- 作者: 岡部晋典
- 出版社/メーカー: 勉誠出版
- 発売日: 2017/07/31
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
発行が決まった直後に勉誠出版さんの通販で注文していたのですが,ご本人からご寄贈頂いたので,私の研究室には2冊到着しております。1冊は読みつぶして,1冊は授業での回覧用としたいと思います。感謝。
悪巧み仲間の岡部晋典さんからご著書『トップランナーの図書館活用術:才能を引き出した情報空間』勉誠出版をご寄贈頂きました(2冊あるのは自分で発注した分で2冊目は授業での回覧用にします)。巻末謝辞に名前を入れていただいたことを光栄に思います。たくさん売れて第2弾が出ますように。 pic.twitter.com/TgSswqjdBq
— 今井福司 (@librarius_I) 2017年8月28日
寄贈の御礼などを本人とやり取りしていたところ,業界内からは面白いとか以外,ちゃんと書評がないので寂しい(意訳) とのコメントを頂きました。ちゃんとした書評はこの後,各種業界誌に載るのと思いますので,このブログでは「書評のようなもの」をお届けしたいと思います。
1.本書の魅力について
本書の魅力を語る上では,以下の記事を紹介する必要があるでしょう。
「想定読者層として高校生あたりも考えていたので、緩い文体で、掘っていくと意外と内容はディープってスタイルがいいのかなと判断しました」と岡部さんは前述の記事で語っています。確かに気合いを入れて読む学術書と言うよりは,力を抜いて読める読み物の方が近いように思います。それでも,中身にはかなり力が入っています。用語への脚註もものすごい数があり,312ページの本なのに670の脚註があるという状態。
タイトルには図書館とあるので,図書館の話だけで終わっているのかと錯覚するのですが実際には,非常に話題が多岐にわたっています。知や文化の世界で最先端を走る人々の図書館や本を中心とした,各人が自分の分野で構築してきた学問だったり文化だったりを背景として語る話はとても魅力的です。
たとえとして適切かどうかは分かりませんが,自分の経験に引き付けると,大学院の研究室でコーヒーかお茶を飲みながら,先生と雑談している時に「あ,これ全部メモしておきたい」という思った瞬間に近い,岡部さん曰く「知的興奮」の感覚を覚えた次第です。
図書館の領域に無理に引き込むのではなく,きちんとインタビューイーの学問や専門分野に触れて,図書館との繋がりについて触れていくというのは大変に難しい事だと思います。インタビューの怖いところは,聞き手が話を引き出せなければ,データとして存在するはずのデータが取れないという所です。岡部さんはきちんと相手の分野について踏まえた上で,インタビューの時間配分まで決めて臨んでいます。
こうした岡部さんの行動から,私は立花隆の『ぼくはこんな本を読んできた』に収録されている「知的好奇心のすすめ」を思い出しました。インタビューする前にインタビューイーの分野について,きちんと調査し準備をした上で,インタビューに臨むといった今であってもごくごく当たり前のことが書かれている記事です。
ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論 (文春文庫)
- 作者: 立花隆
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/03/10
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 182回
- この商品を含むブログ (64件) を見る
当時高校生だった私は,テレビ番組や雑誌のインタビューでお手軽なものって普通にあるよなと思いながら同記事を読んでいたように記憶しています。今も昔もきちんと準備して臨むことの難しさは変わらないのでしょう。その点,岡部さんは,インタビューにあたって対象となる人々の著作や研究をきちんと踏まえ,それを適切なタイミングで用いながら,インタビューイーの話を引き出しているように感じました。
例えば,ビブリオバトルで注目される立命館大学の谷口忠大先生が,Twitterで次のように語っています。
でました~!他の本に無いライフヒストリー的なことも喋っています~!記号創発システム論の話とビブリオバトルの話両方しゃべっていますー.>>トップランナーの図書館活用術 才能を引き出した情報空間 : 勉誠出版 https://t.co/C16g4qxuW2
— Tadahiro Taniguchi (@tanichu) 2017年8月11日
それから,図書館の話に学校図書館の話がかなりの割合で出てくることも注目したいところです。研究素材で使おうとするならば,もう少し踏み込んだ発言が必要だとは思うのですが,それでも話の腰を折らない形で,最前線で活躍する人たちがどう学校図書館に向き合ってきたのかを読めるというのは,学校図書館関係者としては大変に興味深く拝見しました。
2.「トップランナー達の見た図書館のこれまで,そしてこれから」について
さて,本書の中には「トップランナー達の見た図書館のこれまで,そしてこれから」と銘打たれた,一連のインタビューを振り返った節があります。「本書の企画には〜(中略)〜研究的な意図があったことを明確にする必要があるため」学術文体を用い,本書の企画意図や得られた結果のまとめを行っています。 本書は,あくまでも各インタビューこそが主役であり,この部分は,他の書籍では「まえがき」や「あとがき」に相当する著者の振り返りに相当します。この箇所は岡部さんの本気半分,シャレ半分で書いた箇所だとも思えます。
こういう箇所に細かい突っ込みを入れるのは,野暮やマジレスとして本来は避けるべきところかもしれません。ただ,本人にツッコミを入れて良いとの許可をもらいましたので,敢えてマジレスしたいと思います。なお,私が学術系の文書でツッコミを入れるときには常体を使うので,あえて常体にここからは切り替えます。
***
本書について,研究的な意図があったとの前提を置いた上で,当該の節を検討した。以下,3点を指摘しておきたい。
1点目は筆者の提示する先行研究の限界についてである。
例えば,p. 301のリサーチクエスチョン「人々のこれまでの図書館利用の実態はどのようなものだったのか」で筆者は「近年,図書館利用や図書館等機関がが発信するデータの量的利用分析は盛んに行われている。しかし,本企画のような利用者そのものへの質的調査の試みはエアポケットの状態である」と述べている。筆者は続いて,利用の実態について研究者らを対象とした情報行動分析はあるが,本書のような(=利用者そのものへの)調査は見当たらないと指摘している。
ただ実際には,糸賀らによる都立図書館を対象とした利用行動調査や,Lisa M.GivenとGloria J.Leckieによるカナダの公共図書館を対象とした利用者行動調査がある。これらは本書が行ったようなインタビュー調査ではなく,前者が観察及びアンケート調査,後者が"seating sweeps"と呼ばれる観察法を用いた調査ではあるため,本書が取り扱ったアプローチとは異なるものの,これらの先行研究の調査では何が達成できなかったかを検討する必要があったのではと考える。
公共図書館における館内閲覧量測定の有効性(慶應義塾大学学術情報リポジトリ)
“Sweeping” the library: Mapping the social activity space of the public library1 - ScienceDirect
2点目は,「調査」と「研究」の用語の使い分けについてである。p. 302において,筆者は「質的調査」と「質的研究」という用語を用いている。調査と研究についてはsurveyとresearchの言葉の使い分けにも現れるように,使用する際には区別が必要な用語である。おそらくその後の表現では一貫して「調査」が用いられていることから,後者の用語は「質的調査」の誤りだと思えるが,もし使い分けがされているのであればご指摘頂きたい。
3点目は,本研究の限界についてである。研究手法がインタビュー調査である以上,調査を行うにあたっては相手が調査を受け入れることが前提となる。よって,この調査ではあくまでも過去の図書館体験について語っても良いとした被験者に調査が限られることになる。また本書の被験者については,ほぼ図書館について好意をもち肯定的な見解を持つ被験者が多く,反感や否定的な見解を持つ被験者はほとんどいなかった。p. 309で筆者自身が指摘しているが,仮にp. 300でいうような「インターネットがあれば図書館が不要だ」との見解を持つ被験者が存在したのであれば,利用者の状況はさらに明らかにできたのではないかと思われる*1。
***
以上が疑問点です。重箱の隅をつついた感が否めないので,もっと本質的なツッコミは他の方へ譲りたいと思います。ただこういうツッコミどころが残っているのは本書のマイナス点ではなく,むしろこのようなツッコミどころを残していることこそが重要だと私は思います。
本書を読んだ高校生や大学1年生が,この本に対して,私ならこうやってこういう人に調査するのに,もっとこうやれば上手く調査できるのにと,本調査手法を改良して,研究を深め,学術論文を執筆するようなことになるのを,わざと狙っているのではと私は考えています。
とりあえず4000文字を超えたので,ご寄贈御礼の書評のような物としてはここで収めておきたいと思います。岡部さん,ご寄贈有り難うございました。また悪巧みいたしましょう。(巻末広告最終ページ右上に掲載されている書籍の著者より)
*1:ただし,この点は著者が「この人の話を伺いたい」とした原動力とは反する可能性があるため,仮に可能な条件が揃ったところで調査が実行可能だったかどうかは疑問が残る