リブラリウスと日々の記録(はてな版)

研究とかイベント運営とかの記録を淡々と。

小林卓先生のこと。

私信です。ブログに書いたって届くわけもないのですが,届くかもしれないと思って書き連ねてみます。

小林卓先生。実践女子大学の准教授であり,私にとっては東京大学図書館情報学研究室の先輩にあたる方です。4月8日(水)に急逝されたとの知らせを,土曜日の夜に頂戴しました。あまりに驚いてしまって,先生の訃報を知らせるべき方に送付するまでは何とか勢いを持たせることができましたが,翌日の日曜日はほとんど何も手につきませんでした。

私と小林卓先生が初めて連絡を交わしたのは,2011年の11月で,私が大学院博士課程を終えて,特任研究員のお役を頂いて半年ぐらい経った日でした。その日小林先生ご本人から,「図書・図書館史」の授業1コマで学校図書館の話をして欲しいとのメールを頂戴しました。

ちょうど博士論文の作業が上手くいかず煮詰まっていたこともあって,頭を整理するためにという意図もありつつ,でも本当は「面白そう」という感情だけに突き動かされて,OKの返事をその日のうちに出しました。

2012年の1月に授業を担当させていただきました。図書館情報学を研究しているくせに,初めてそのときになって降り立った「日野駅」。初めて入った実践女子大学の5階に先生の研究室はありました。初めて伺ったときに,図書館史のグッズをたくさん見せていただきました。

たぶん記憶がねつ造されていなければ,おそらくは「スゴいですねー」と繰り返して,お前分かってんのかとツッコまれるような反応を私はしていたはずです。でも,なんだかんだで楽しかった記憶は残っていますし,後日ちゃっかり頂いたホーンブックレプリカと百万等陀羅尼のレプリカは今でも研究室の棚に収まっています。

近畿大学中央図書館 貴重書 3階常設展示 2011年1月 ホーンブック

 最初からそのつもりですが,私がこの仕事を辞めるその時まで,これらは大切に大切に取っておくことに決めました。そして,とっておきの時に学生さんへ見せたいと思います。

白百合に仕事が決まってからは授業参加はご無沙汰になってしまったのですが,その後も,仕掛け絵本の披露会,聖書の写本の展示会をはじめとして事あるごとに声をかけていただきました。知識がちゃんとなくて,小林先生の意図をどこまできちんと受け止められたかは自信がありません。でも,一つ一つのアイテムについて,楽しそうに解説を加えている語り口は今でも少し思い出すことができます。

さて,小林先生は教育の面でも研究の面でも大変気にかけていただいていました。お電話でご相談に乗っていただいたこともありました。電話の内容はここには書きませんが,先生が教えてくださったことはその通りでしたし,これからも大切にして行動して参りたいと思います。

特に下記にあげる著書は,研究レビューとはこういう風にやるんだというお手本のような本です。何度でも何度でも見返したいと思います。

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断片的な記憶がどんどん出てきます。もう少し落ち着いたら「京王・井の頭線女子大コンソーシアム」を作りましょうと仰っていただいたこと,渋谷にキャンパスが移転するから僕も通勤電車に乗らなきゃいけなくなったんだよねと言っていたこと,他にもたくさんのやりとりがありました。エピソードはもっとたくさんありますが,あんまりここで披露して消費することは先生は望まれていないような気がするので,2人だけの秘密にしておきたいと思います。

いくつか頼まれたのに,お断りしたり,結局できなかったことがあったのが悔しくて悔しくてなりません。お世話になってばかりで,まだ何も返せてなくて,本当にごめんなさい。少しでも精進していつか追いつけるようにしたいと思います。有り難うございました。そしてさようなら。