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リブラリウスと日々の記録(はてな版)

研究とかイベント運営とかの記録を淡々と。

【イベントレポ】埼玉県高校図書館フェスティバル シンポジウム「利用者から見た高校図書館」(2)

質疑・討論:(Qは質問,Aは回答,Cはコメント)

【1】から続く

県立図書館の評議員の方から

  • Q:高校の司書の重要性はよくわかった。10年前から採用をやめている理由は,財政的な問題なのか,方針があってやめているのか,どうしたら復活できるのか,それにどう対応してきたかを教えていただきたい。
  • A:(木下さん)私も1司書という形なので,私の感じているところでお話したい。埼玉県は県立図書館と同時採用になっているが,4館で分けていたが,中央館構想で3館に減らされた。それで人が余ってしまった。高校のことについては組合の方がよく知っていると思う。埼玉の研究団体が,県に対して要望書を出していたり,組合でも意見を出していたが,県は地道な活動には答えてくれないので,今回のように関心がない人に,民意に訴えていきたい。
  • Q:予算の問題なのか,そのあたりを明らかにしないと対応できないのではないか。
  • A:学校司書という職業は法制化されていない。埼玉県は高等学校管理規則には司書という職はある。司書という職はどうなっているのか,学校図書館法が改正された際にも埼玉県は手を着けないようにした。採用試験が止まった理由については,大きな解答としては高校が統廃合していく可能性がある,3館体制になっていた県立図書館が中央図書館構想を進めていて,これがはっきりしないと埼玉県の司書は,高校の司書と県立の司書を同時に作用しているため,将来的な人数が把握できない状況だと思われる。そこには財政的な問題もあるだろう。

高校の生徒さん

  • C:高校1年時から図書委員会にいた。展示整理班は3年生が1人が1年生が2人しかおらず,実質的な活動ができていなかった。最近ようやく職員室近くの廊下にコーナーがあることがわかったので,展示をして引きつけるようにした。本を読む数をもっと増やしていきたいと思っている。

高校の生徒さん

  • C:小学校の頃は司書がいない図書室で,代本板で借りていた。図書室はカーテンが閉まっていて,真っ暗な部屋で怖い部屋だと思っていた。高校に入ってからはカラフルで司書さんがいて,本とのつきあいか他が出来るスペースが出来ていた。高校は弁当を食べるとき,司書室に持ち込んで仕事の話をしている。図書館というのは自分にとっては癒しの場であり,交流の場である。ほかの生徒に本を通じて関われることは重要だと思っている。

渡辺さん(パネリスト)

  • Q:(鈴木さんに対して)臨時の方が,回られる学校が決まっているのか,専任専門正規の学校はずっとそこに勤務するのか。
  • A:正規のところはずっと正規であるというわけではない。異動の関係でうまく人が配置できないときに臨時的任用者が入る。学校によっては正規の人が入って長く続けるパターンもあるし,5年間毎年司書が変わっているというパターンもある。

高校の生徒さん

  • C:図書委員会として働いてきた。小学校の図書委員の活動は昼休みだけだった,授業中に読書の時間を設けて,図書館で読む場合が多く,休み時間はがらがらだった。中学校も昼休みだけで,勉強のスペースはあったが使う人はいない,放課後はがらがらだった。高校はいきなり活発な学校でとても驚いた。昼休みも放課後も活動があり,委員会自体も活気があり,友達とも話せる場所である。
  • C:授業との連携も話したい。理科の授業での連携。地球外生物について,文献もたくさんあったけれど話が進まなかった。司書の方のサポートもあって全班発表できた。人文科研究は一人一人が好きなテーマについて調べる内容,言葉ではなく文章による発表である。週1回1年間通じて調べる。図書館を使って調べるため,利用は活発に行われている。

私立高校の司書さん

  • Q:先ほどの生徒さんの高校の研究発表について,地球外の生物の資料はどのようなものが提示されていたのか。
  • A:地球外生物というと難しいが,地球以外に生物が住んでいるかどうかを調べるというよりは,火星などの資料を並べてほしいと先生からの要望があった。先生との連携を密にしているので,大人の事情と意識の差が大きいのが気になってはいた。

大学で図書館情報学を学ぶ学生さん

  • C:司書教諭と司書がいると,司書教諭は生徒に直接関わっていて,司書はバックグラウンドだと思っていたが,その辺の住み分けは。
  • A:(小池さん)私は司書教諭は毎年発令される。やはり司書さんの専門性はものすごく高く,一朝一夕でできることではない。司書教諭は1998年以降,配置しなければいけない職業になったが,全国的に見ると,司書と司書教諭の関係はバラバラである。他県では理科の実習助手が兼務したりなど一様ではない。埼玉は学校司書さんが配置されていて,司書教諭も配置されている。教諭は担任も持っているし,授業も持っている,その間資料を整理したり,図書委員会を運営したりすることは出来ない。空き時間に司書さんにこういう資料をそろえてほしいといって,そろえてもらっている。空き時間でこれらの資料を検討することは出来ない。

図書委員会活動もすごく活発である。もっと関わりたいと思うが,午前中の最後の授業で,午後の最初の授業があると図書館まで行くことは制約があって難しい。実際の図書委員会の活動に関わってくれているのは,学校司書さんである。図書委員にとっては司書さんが自分たちの委員会活動にもっとも関わってくれている人だと思われているのだろう。

一般の方

  • Q:小中学校の朝読書は,専門家にとってはどういう風に考えているか。
  • A(小池さん):千葉県の私立の女子校だった。始めた先生は本を読める生徒になってほしい,そういう思いをこめて人間性に迫る思いで始めた。私も前任校で朝の10分間読書を始めた。活字が嫌いな子供が多かった。本を魅力を知ってほしいなと思った。寝てる生徒には,かごの中からそっと本をおくようにした。字を見ると頭が痛くなると言う生徒が,どんどん読むようになってきた。私はそれ以降何も言っていないが。生徒指導上でいろいろな問題が会った子供に本を渡せるようになる。廊下のすれ違いざまに感想をボソッとつぶやいてきた。ある子供は最初から本好きだと思っていたが,この朝読書がきっかけで読書習慣ができた。始めた林さんたちは雑誌やマンガは入れていない。

埼玉の高校の司書さん

  • C:司書の立場から,どうサポートできるか。各クラスに青いプラスチックの箱に古本市で売れ残った本を詰めておいてきた。朝読書で忘れた子供たちがその本を読むようになった。どこかのクラスでざわざわが始まってしまうと伝染してしまうおそれがある。1週間ごとにローテーションを回していた。本が擦り切れるほどだった。今の学校は年間平均15冊,宿題として学科の宿題があるためか。朝の読書はほとんどは自分で買った本,友達から借りた本が大半である。図書館の本は14%である。高校生だと自分の好きな本を読んでしまう傾向があるようだ。小中学校だともっと図書館の本が使われることになるだろうと思う。

パネリスト鈴木さん

  • C:調べる授業,調べ学習授業をしたとき,グループで調べ学習をする授業をした。そのときに百科事典を使ってはいけないとは言わなかった。すると,生徒の方からこういうときはポプラディアでしらべるんだよといってきた。中学校の学びは高校に直結してくる。小中学校に司書を入れて,そういったスキルを身につけさせていったらと思う。

コーディネーター桜井先生

  • C:図書館での授業を試みた,テンションがあがってザワザワするようになったという話があった。グループ学習をやると寝る生徒がいない。教師がふつうに講義をする際には何ページまで説明を進めて,説明した気になっているがそこに学びはあるのだろうか。待ち合わせの場所に使っているという話も聞く。読書は個人的な営みだが,学校という公共の場所で保証されていることが教育の可能性があるのではないかと思う。読書環境の整備だけでなく,資料提供の役割がある。司書教諭も司書も役割が重なってくるところがある。また渡辺さんの話もあったが,それらの運動は住民市民の運動からかけ離れてはできないと思う。

埼玉県議会議員の方*1

  • C:小学校に人を置く運動の方からお話を聞いた。小中学校はひどい状況。今日の議論、司書の配置の財源と図書館の本の予算をどのようにつけるか,という点について議論がない。日本の教育制度と欧米の教育制度(学校図書館の制度)の違いについて知りたい。
全体討論

桜井先生から

  • 国の方から図書館を何とかしようとする動きはある。個々数年は2002年に子供の読書活動の推進に関する計画を打ち出した。そこで5カ年計画に入っている。図書費のサポート,2000年は文字活字文化振興法があり,そこも後押ししている。片山さんが総務相になったこともあり,「住民に光を」という予算が付いた。200億円,図書館の充実という項目も入っている。
  • 従来は国は予算をつけるが,県はそれを別の用途に使ってしまう。降りてきた予算は予算化をしようとする動きも起こっている。学校に降りても図書館予算に使われないと言うことも起こり得るが,図書館の充実を訴えるのは現場の責任だと思う。
  • 学校図書館の重要な動きとして除籍という動きがある。たくさんの蔵書は必要だが,子供たちに魅力的な本棚であるためには,新しい図書が並んでいることが必要だ。
  • 司書の採用は,法制化されないと勢いがつかない。埼玉県は条例化されたので,県の予算が付き,司書の配置に予算措置がなされている。すぐとなりの東京は,図書館先進県であったが,現在法,改正以後司書職が減らされ続けている。

福島の高校の学校司書の方

  • 福島はとても進んでいない県であるが,司書の採用が続いている。採用が0の年がずっと無かった。理由はわからないが,県教委ががんばってくれているものだと思う。
  • 地域活性化の交付金1億円の予算を県の高校図書館予算としてついた。司書がいる学校は大喜びだったが,司書のいないところは,選定が間に合わず,予算が消化できない。

宮城の高校の学校司書の方

  • 宮城県は埼玉県とだいたいほとんど同じ状況である。学校図書館ができる前から配置されていて,行政職として配置された。行政職の職員が希望を聞かずに司書に異動される状況があった。
  • 毎年県教委に請願として,司書職を独自採用するよう請願を出している。
  • 地域活性化の交付金は,県議会に働きかけはやっていて,請願にきり変えていこうと思っている。

神奈川の学校司書の方

  • 行政職での採用。学校司書は全校配置,県立図書館に配置するか学校図書館に配置されるかで,ずっと続いてきた。
  • 一般行政職での採用を控える。司書の採用も13年無い。県立高校は153校,臨任24名(1割に近づく)。採用が止まったときから,採用試験の再会をと訴えかけた。県立高校が再編計画が一段落するまで,採用を止めたいと最初はもうしでてきた。その後高校の計画が一段落した後,県立図書館を指定管理者になるかどうかまでは採用を控えたいと理由がスライドしてきた。県立図書館の全職員が学校に戻されても,臨任を雇わないと賄えないような状況である。
  • 神奈川は年間20数万円しか予算が付かず,各学校PTAからの私費で運営している状況である。
  • 先ほどからでていた光を当てる交付金は,2つの高校で10数万円程度の予算措置がなされたようだ。

北海道の高校の実習助手の方

  • 北海道では実習助手として働いている,ほかの実験実習と兼務で働いている人がほとんどである。図書館の仕事は転勤で人が変わった時に初めて図書館の仕事をしたという人がいるほどの状況である。プロが行うという状況では必ずしも無い。
  • 高校も1間口,2間口の小さい学校が多いため,1人でがんばっているような状況である。北海道は定額12万円,生徒数1人631円の予算で,6間口だと60万だが,1間口だと12万円である。
  • 1月12日,「光を注ぐ交付金」から補助(定額12万円,生徒1人1050円),その後83万5千円となって,全道規模で昨日まで選定作業でてんやわんやだった。しかし,教示店で,交付されたという案内はきていない

北海道の恵庭市などで臨時で学校司書の人がついてる状況である。市の範囲で小中学校には学校司書がついている状況だという。北海道の場合実習助手という身分がり,学校司書という職種はないので,配置は進みにくい。

埼玉県高校で2年前まで学校司書をしていた方

  • 学校司書という職が配置された当時は,司書資格を持たない人が事務職と兼務で,学校司書で働いているような状況だった。
  • 思い出すと,図書館という場所で司書をもっとも必要としていたのは,図書館勤務を命じられた自分だったと思う。
  • 高校の全校配置という表現があるが,特別支援学校に司書が置かれていなかった。気になっていたので,自分で盲学校にボランティアとして入らせてもらった。知的障害の学校にも学校司書として入っている。障害児の学校はどんどん増えていて,教室が足らない状況である。司書の採用試験を再開するときには盲学校,聾学校なども対象になればよいと思う。
  • 制度ができている右肩上がりの時は,働く人が当事者だったが,今は利用者が当事者としてイベントができることは心強いと思った。

以下,参加したイマイのコメントです。

  • これまで研究者も現場も「利用者へアピールしなければ」と,星の数ほど提言をしてきたと思いますが,ここまでちゃんと利用者(市民)を巻き込めたイベントは相当珍しいのではないでしょうか。
  • フロアにいたにも関わらず,高校の図書委員の方が,「私の学校の授業実践について聞いて下さい」と率先してコメントしていたときには,あたしゃ一瞬仕込みかと疑いましたよ。でも原稿を用意しているようなしゃべり方ではありませんでしたので,思わず口をぽかんと開けて聞いておりました。Twitterでもコメントしましたが,学校の生徒会とかが議会にかり出されてやらされるような関係の薄い話題に関して話をさせるんじゃなくて,実際に図書委員で苦労したり楽しかったりすることを話しているから,説得力もあるし伝わるんだなあと思うのです。
  • また,イベントの記録からだけでは分かりませんが,参加された学校司書の方は,1人1人の利用者の顔が見えている状態で仕事をしているんだなあと感じました。1つ1つのエピソードや,実践の話が「利用者」という大きな集団ではなく,図書委員の〜さんというレベルできちんと見られている気がしました。
  • ただポジティブな事ばかりではなく,あと10年このまま放っておいたら,状況はもっとひどくなるでしょう。そうなる前に,研究者としては価値中立を保ちつつ何ができるんだろう…そんなことをまた思い返しながら,帰宅した次第です。

えーと例の如く,第一印象で書き込んでおりますので,後日追加するかも知れません。どうぞご容赦下さい。
今回も長文レポートにおつきあい頂いて有り難うございました。

*1:政治的な所が絡むかも知れないので,お名前はtogetterの方でご確認を