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リブラリウスと日々の記録(はてな版)

研究とかイベント運営とかの記録を淡々と。

【イベントレポ】埼玉県高校図書館フェスティバル シンポジウム「利用者から見た高校図書館」(1)

こんばんは。久しぶりに学校図書館イベントレポ(長文)です。

今日は埼玉県の学校司書さんが,団体としてではなく有志で作ったイベントのレポートです。その名も「埼玉県高校図書館フェスティバル 高校図書館って楽しい!」。
学校図書館職員の待遇改善の講習会とか,予算獲得のための勉強会はたぶん星の数ほどあると思いますが,
今回のイベントは,地元の書店や利用者や色んな人を巻き込んで,学校図書館を盛り上げようと手作りで作ったイベントです。

研究者的にはこういった職種の集まりに出るのはどうなん?みたいな受け止め方もあるでしょう。
ただし有志の手作りで行われたイベントだということ,そして学校図書館を盛り上げようという点で
「何だか面白そう」という私にとって一番大切なモチベーションが確保できたので,あんまり悩まずに参加を決めた次第です。
研究者としてよりはジャーナリスト(何かカッコイイ!)みたいな観点で書いてますので,そのあたりはどうぞご容赦ください。

例の如く,以下の記録はイマイが聞き取れて,理解できた範囲での記録であることをご了承下さい。それから,Twitter上で実況が行われていたので,興味を持った方はぜひそちらもどうぞ*1
http://togetter.com/li/102996

同時に埼玉県高校図書館フェスティバルの公式Webページもご参考にして頂ければ幸いです。
http://shelf2011.net/

なお,今回のシンポジウム記録では具体的な校名については伏せています。また,発言者のうち,公式WebやTwitter上で名前が出ていない方については,氏名の記述を伏せたいと思います。それから発言前にTwitter実況NGを出された方の発言はカットしましたので,予めご了承下さい。

埼玉県高校図書館フェスティバル 高校図書館って楽しい! シンポジウム「利用者から見た高校図書館」 2011年2月19日13:30-16:30

主催者挨拶

実行委員長 埼玉県立高校司書 木下さん

  • 遠いところからたくさんの方にご来場いただいていて,埼玉県内の学校司書は別会場に移動して,音声中継で参加しているような状況である。
  • 埼玉県の高校司書は,長年専任で配置されている。学校教育に役立つ学校図書館でありたいと考えていた。校内で図書館があってよかったという活動をやってきた。研究活動にも力を入れてきていた。
  • しかし,長年同じメンバーでやってきていたので,閉塞感があった。若い司書が入ってこないことが問題。司書採用試験を復活させたい。ネガティブでなくポジティブに県民のみなさまに学校図書館を知っていただきたい。
  • 完全ボランティアで今回のイベントを作った。企業からスポンサードをしてもらった。
  • この会をもっと知ってもらうために,書店から資金提供を募り,その代わりに埼玉の学校図書館司書が選んだ一押し本のパンフを配布した。県内でフェアを開催している。南は川口から,熊谷秩父まで活動が広がっている。
  • お勧め本のラインナップは多様なジャンルに広がっている。これは高校で教育活動に携わっていたことが大きい,新しいテクノロジーである,TwitterやWebダ・ヴィンチへの情報掲載も大きく今回の盛り上がりに繋がったと思う。
来賓挨拶

学校図書館を考える埼玉ネットワーク 金子さん

  • 埼玉県の公立の小中学校に専任の司書を置いてほしいという運動をやってきた。22市町に人はおかれているが,臨任で不安定な採用である。場合によってはPTA雇用という状況もある。
  • 子供たちが県内の高校に上がると,立派な学校司書がいる学校図書館に出会う。そこへ上手く繋ぐためにも,小中学校でどんな風に図書館を使ったらよいのか学んでほしいと思ってこの活動をやっている。
  • 今日もこの会に大勢の方が参加している。私たちもがんばらなければと思った。
基調報告 埼玉県立高校司書配置の歩みと現状
  • この会を発足したきっかけは埼玉県の司書採用試験の復活である。

埼玉県の学校司書配置のあゆみ

  • 昭和28年に学校図書館法,1958年に県立の全日制高校に司書が配置されていることが確認されている。校費採用が27名,私費採用が28名だった。
  • 1968年,学校司書職が配置される。
  • 1975年,司書採用試験による独自採用が始まる。有資格者の任用替えも行われた。
  • 1979年,学校司書の18学級以上事務職配置により,全校への配置が実現する。
  • 1984年,新任司書の研修が始まる。講師は現場の高校司書があたった。4月,7月8月の年2会実施。
  • 1993年,定時制高校に司書が配置される。県立盲学校にも司書が配置されている。
  • 2000年,司書の採用試験が実施されなくなった。以後10年採用試験が実施されなくなった。新任司書研修は実施が続いている。
  • 先程も述べたが,1990年代に一部の特別支援学校に司書が置かれたが,それ以外の特別支援学校には司書が置かれていない。
  • 日常的に読書相談に応じたり,調べ学習で参考資料を提示したり,レポートの書き方を教えたり,個々のレファレンスに対応している。
  • 2010年現在,153校,145校が専任。2016年までに定年退職により,50名以上の定年退職者がでる。4割の司書が臨任となってしまう。身分不安定で,将来不安定のまま仕事をすることになってしまう。一日も早く採用試験が復活するよう願っている。
シンポジウム「利用者から見た高校図書館」

コーディネーター: 桜井康夫先生 (埼玉県立高校教諭)

  • 本日の催しの後援団体である埼玉県高校図書館研究会で司書の方と仕事をしてきた。埼玉の司書が立ち上がるなら,何か手伝えないかと思って参加した。
鈴木沙代子さん (埼玉県立高校司書)臨任司書として
  • 今年度で12年目の臨任になる。採用の形態は違うが,同じ学校に行ったこともある。1年ごとに仕事先が変わる。
  • 常に2つの点を心がけている。「図書館は色々とがんばらなくてもいい場所にしたい」「生徒の目をキラキラさせる図書館にしたい」
  • 実際にはおとなしく,隅っこにいるような生徒が,図書委員として積極的に発言できるようになった。しかし,図書委員に近すぎてホームルームで浮いてしまうようなこともある。距離の取り方は難しい。
  • ホームルームが自分の家なら,図書館はおじいちゃんの家のように思ってほしい。本来の居場所ではないけれど,居心地がよく,楽しい本や新しい発見がある落ち着ける場所として図書館を作っていきたい。
  • 現在の勤務校は生徒数500人ほどの比較的小さな学校。
  • 図書館の位置は特別教室棟の4Fであり,ホームルームの場所より遠い。
  • 図書館を利用する生徒はライトノベル好きやクラスが好きでない生徒の利用が多く,それ以外の生徒は面談期間の待ち時間や授業で利用する程度。
  • 本が嫌いな生徒は図書館も好きではない,勉強部屋だと思われている。そんな生徒のために本の展示に力を入れている。表紙を見えるように飾っている。ハロウィンの展示や百人一首,バレンタインの展示などを行った。展示を工夫したら貸し出し数も増えた。
  • 本の世界にふれさせたい,調べる力を付けたいという意図から図書館資料を使った調べ学習で先生方の授業をサポートすることもある。
  • 最初は生徒の反応はいまいちだった。ところが図書館ではテンションが高まってしまい,課題が終わった後,本棚の間をうろうろして自分の読みたい本を読むような子が出たり。勉強に積極的ではない生徒が,図書館で真剣に本を読んでいる状況があった。
  • 次の単元として,絵本のポップを書くという活動を行った。課題が終わったら自分の読みたい本を読む生徒もいた。「どうしよう,読みたい本がありすぎる!」と司書冥利に尽きる言葉をかけてくれた。
  • 調べ学習自体も「楽しかった」という生徒からの感想が多かった。「生徒が思った以上に生き生きしていた」という先生方からの感想もあった。
  • 臨時的任用職員の任期は1年。1年で学校を変わっていく。
  • 図書館に通う生徒は環境の変化に弱い。司書が異動することで4月は「何で司書さん代わっちゃったの?」という生徒たちからの集中砲火をうける。一方,この時期になると「来年もこの学校にいるよね」と言葉をかけてくれたり「来年司書の先生が替わったらイヤだ」とも言われて胸が痛む。
  • 学校は3年が基本スパンとなっているため,教職員の中からは,どうせいなくなってしまう人だからと見られてしまう。安定した状況で子供と関わっていきたい。
川島麗央奈さん (埼玉県立高校3年)高校生-図書委員として
  • 高校1年生の頃から,図書委員として図書館に関わってきた。
  • 我が家には大きな本棚があり,図鑑がそろっていた。小さい頃に読書が好きになった。大好きな本の一部分を読んで暗唱したりということ,虫を図鑑で調べたりもした,本は身近な存在だった。
  • 小学校の図書館は2階にあって,2日に1回は通った。図書館にある本は全て読んでやろうと思った。でも3つの点で困った。(1)本があるべき場所になかった。社会という棚に児童文学の棚にあったり,読みたいと思った本が分類から見つからなかった。(2)本棚の高い位置に本があった。(3)貸し出し作業は繁雑で,貸し出しカードに書いて,図書委員に渡さなくてはならず図書委員不在の時は借りられず,結局その場で読んでしまっていた。
  • 中学校の図書館は記憶がない。オリエンテーションがなかったので,使い方がわからなかった。
  • 高校の図書館は小中学校とは異なっていて,室内がカラフルで,司書がいて,ライトノベルや雑誌があって,利用者がたくさんいた。
    • こうした図書館は,司書の木下さんや図書委員が全員で作り上げた環境。
    • 館内がカラフルなのは、委員会レイアウト班が季節にあった装飾をしているおかげ。
    • 利用者が多いのは、木下さんと委員会のライブラリー・ニュース班が定期的に図書案内を発行しているおかげ。
    • 高校での傾向を木下さんはきちんと把握している。図書館には様々な人が来る。勉強する人,本を読む人,相談をしに来る人,司書がそばにいるから対応できるのだと思う。ぜひ司書のいる学校を増やして欲しい。
小池由美子先生 (埼玉県立高校教諭)高校教諭-図書係として
  • 国語を教えている。私の高校時代を最初に振り返っておく。都立高校出身だが,高校図書館を巡る環境は恵まれていた。専任の司書と事務職員が1人配置されていて,2人図書館には人がいた。オリエンテーションは4時間設けられていて,図書室ではなく図書館だと教えてもらった。部屋ではなく機能を持った部屋であることが強調された。
  • なぜこのようなことをやったかといえば,大人になって国会図書館を使っても戸惑わないでほしいというポリシーがあったから。
  • 図書館報は文書をひたすら司書さんに直された。自分で考えて文章を書くことを繰り返し行っていた。司書の方がチェックしていたが,かなり厳しく文章を書くことの怖さを教わった。
  • 現在の高校では,国語総合を担当。この科目は複数のクラスで違う先生が担当するため共通教材,共通進度,共通のテストをやることになっていた。図書館を使うことができるのかと不安になったが,年4回使うことが出来た。
    • 調べ学習を行わせる意図は,図書館で資料を使って調べられる力を付けてほしいというものである。大学のどの学部に行っても役立つし,生涯学習でも役立つ。インターネットで検索出来る時代だが,調べた気になってもプレゼンの段階になると,プリントアウトしたものの棒読みになったり,漢字が読めず詰まってしまったりする。
    • 生徒に何で図書館を利用するのかを理解するために,こんな話をした。イギリス人ならシェークスピア,ドイツ人ならゲーテ,フランス人ならサルトルを語れて当たり前,日本人なら日本の作家を語れて当たり前ではないかと言った。誰かに押しつけられた像ではなく,自分で調べた像として。
  • 万葉集古今和歌集新古今和歌集を題材にした調べ学習の様子について。最初は口語訳を教えてその後,分担して調べ学習をする。
    • こういう授業がやりたい,こんな資料がほしいと司書さんに打ち合わせしておくと,トラックに資料をまとめてくれる。生徒は65分授業だが集中して取り組んでくれた。
    • 万葉,古今,新古今については,載っている歌について口語訳を調べただけでなく,関連して伊勢物語を調べようとした。きっかけさえあれば,「学びの意欲がジャンプする」*2
  • ある班の発表では,30分以上原稿を見ずに説明が行われた。研究授業だったのだが,下手な実習生よりも上手で分かりやすいと教員の間から評価された。
    • 放課後,発表を聞いた生徒が,ああは出来ないけどがんばると言ってくれた。生徒の発表を聞いて刺激され,自分たちが高まっていく。
    • ほかのクラスの生徒も話を聞いて,同じ授業がやりたいと言い出して,ほかの国語の授業でも図書館を使うようになった。
  • 図書館は使えば使うほど,生徒にとって良くなる。図書館にとっても良くなる。図書館は生きている。変わっていくということにつながる。
  • 昼休みも放課後も司書室は賑やかである。もらってきたリンゴを剥いて図書委員が集まるような司書室。
渡辺和子さん (学校図書館-虹の会-所沢)地域住民として
  • 私は学校に勤めているわけでもなく,司書でもなく,先生でもない。
  • 所沢市在住でパートで保育士をしている。
  • (図書館を関わるきっかけは)長男が小学校1年生になったとき,学校の帰りに文庫のチラシをもらってきたこと。自分の地域に文庫のチラシがあるんだと感動して,子供3人をつれて文庫に行った。毎週1回文庫に通い続けた。その後自分は文庫をやりたくてスタッフになった。13年間続けている。子供たちが卒業した後読み聞かせボランティアを月1回,10年くらい続けている。
  • 私は家庭文庫が出発点であった。学校教育に関する疑問は,話すのがはばかれる場が多いが,文庫だと自由に話せる状況だった。子育ての悩みも子供3人だと次から次だが,私を否定せず文庫では話を聞いてくれる。文庫に通い続けている中で,全国組織の集会に参加するようになって,全国連絡会のスローガン「すべての子供に読書の喜びを」はその通りだと思う。
  • 習い事などが盛んになってくると文庫に通ってくる子供がいなくなる。でも学校図書館だったら,文庫にこれなくなっても側にあると,全国連絡会の方で考えるようになった。
  • 学校が居心地の良い場所,小中学校の学校図書館が充実すると言うことは,親に本を読んでもらった
  • 文庫に行った子供もいかなかった子供も学校図書館に行けば,本に出会えるという状況にしたい。
  • 知的好奇心や本に出会う環境として,小学校の学校図書館が機能することが重要だなと考えるようになった。
  • 生涯学習の基盤になる学校図書館,基盤というのは基礎がある最初のところは小学校の学校図書館ではないかと思う。
  • 所沢の現状としては,1点目,学校司書がいない学校図書館では代本板を使っている。それを使ってそこに本を返せばいいが,絵本のコーナーの並び方がぐちゃぐちゃになっている。2点目,17年前に良好な読書環境の充実を求める法案が採択され,中学校には司書補助員が配置されたが,小学校には人が配置されなかった。
    • 市長が3年前,2年後には司書補助員を配置すると公約を掲げた。教育長が一昨年,司書教諭とボランティアが共同した方がずっと効率的だと答弁していた。でもボランティアには研修がなく,継続性がない。この社会情勢の中でボランティアをやる人が少なくなってきた。新しいボランティアの方が集まらない状況になった。
    • 昨年6月議会で誓願が通り,来年度大規模小学校2校に,中学校と同等の司書補助員を入れることが決まった。
  • これからも,全小学校に司書を配置する運動を続けていきたい。いろんな人とつながっていきたい。

【2】へ続きます

*1:というより,実況が素晴らしかったのでブログレポの意味なしかな?このブログの聞き取れなかったところもTwitterから補充しているし(←こらこら)

*2:メモメモ。何処かの非常勤で使ってみよ−。