【イベントレポ】九州大学ライブラリーサイエンス専攻設置記念シンポジウム「ライブラリーを科学する」(1)
皆さんこんばんは。年末のお忙しい時期如何お過ごしでしょうか。
さて,今日は東京から福岡まで飛行機に乗って,九州大学まで行ってきました。物見遊山ではなく,ちゃんとしたお仕事として。
皆さんご存じかと思いますが,2011年4月から九州大学大学院統合新領域学府において「ライブラリーサイエンス専攻」が設置されるそうです。これは大学院とついていることからも分かるように,学部ではなく大学院修士課程として設置されるとのこと。
今日はそのライブラリーサイエンス専攻の設置記念シンポジウム「ライブラリーを科学する」に,LIPER3の中の人として取材に出かけたわけであります。
というわけで,同シンポジウムのレポート(あるいはただ聞いたことの口述筆記)をお届けしたいと思います。
例の如く,若干メモが抜け落ちていること,全ての文章はイマイが聞き取った範囲で構成していること,誤りが含まれている危険性があることについて,あらかじめご容赦頂いた上でご覧いただければ幸いです。あと,ポメラでメモしたところをとりあえずアップロードしてしまっているので,誤字脱字をあとで修正するかも知れません(その場合は一番下に追記で変更履歴を載せます)。どうぞよろしくお願いいたします。
九州大学ライブラリーサイエンス専攻設置記念シンポジウム「ライブラリーを科学する」
2010年12月18日13:00〜17:25@九州大学中央図書館 新館4階
司会:人文科学研究院 岡崎敦さん(大学院専攻の責任者)
- 平成23年の設置を記念して,図書館情報学とアーカイブズの未来ならびに,新専攻の意義や今後の展望をみていきたい。
開会挨拶 総合新領域学府長 塩次喜代明先生
- 専攻について
- ライブラリーサイエンス専攻は図書館という建物を意識したものではなかった。資料にもあるが,建物ではなくて認識の対象としてのライブラリーである。
- 統合新領域学府の第3弾。統合新領域とは,今までは他では融合といってきた。しかし融合では頭の中での知識の融合に留まってしまい人の融合は起こらない。ここでは先端的な知識や専門性を持った人が集まって,統合するという意図。
- 学際領域が増えてきたから統合が必要。今までの大学は先になればなるほど,専門特化していく,知の交流を行うことは難しくなる。専門特価による知のエントロピーを何とかしたい。そのために統合が必要。社会の側の要請。専門特化した領域だけでは解決できない問題に対処する。出口の側から大学院を作りなおしてみようとする試み。
- 新しい分野・課題の側から作られていった大学院の専攻をおく。
- 先行するものとしてはユーザー感性学専攻,オートモーティブサイエンス専攻(工学だけでなく,心理学,社会科学のアプローチを含む)がある。ライブラリーサイエンス専攻は第3弾。
- 社会が求めている課題の側から作る。九州大学が取り入れた学府(研究科では学生と先生がセットだが,学府は学生だけ)研究院(先生だけが集まっている)制度があったからできた。
- ここで学べば,ライブラリーの持っている専門性や知恵が身につけられると考えている。
- シンボルマークの意味,菱形は縄文時代からのなじみある形,知の継承と想像をイメージしている。LとSが組み合わされた図形である。
新専攻の紹介 システム情報科学研究院 冨浦洋一先生
ライブラリーサイエンス専攻の紹介
- 大学院統合新領域学府に平成23年4月に設置
ライブラリーサイエンスとは?
- 記録された知やデータを情報と呼んでいる。
- この記録された知やデータは人々に継承され,利用され,新たな知の創造がなされる。循環して行われる活動である。
- 支えるために,適切な「情報の管理」「情報の提供」が必要。
ライブラリーとは
- ユーザーの視点に立った情報の管理と提供を行い,知の創造と継承活動を支える「場」
- ライブラリーは図書館よりも広い概念。ライブラリーサイエンスとはユーザーの視点に立った情報の管理提供を科学する。ライブラリーの新たな機能を科学(バーチャル学習)
情報の管理に関する課題
設置の背景
- ユーザーがほしい情報と提供した情報のずれ。
- 高度情報社会の進展
- 必要な情報を効率的にほしい
- いつでもどこでもライブラリーが提供する情報にアクセスしたい
- 電子媒体上で配布される情報の著作権等の問題
- 新たなタイプの情報
- ズレをユーザの視点に立った情報管理で解消したい。
- 新たな情報も管理提供するようにしたい。
九州大学に開設する意義
教育上の理念・目的
- ユーザーのニーズ,知の創造・継承プロセスの把握(学習科学,コミュニケーション論,PTL・インターンシップ)
- 図書館情報学と記録管理学を統合したい一体教育(両学問に共通の概念や方法論を教授基礎科目として(1年前期),それにそれぞれの特有の分野の学問,ユーザにとって意義ある情報の管理提供という観点で従来の理論・手法を再検討)
- データエンジニアリングを含む情報通信技術
- 電子媒体の情報も対象とした,情報法制,流通制度
- これからの情報の管理提供のあり方,ライブラリーの新たな機能の探求
- PTL(Project Team Learning)を通して知の交流を促す=真の「統合」へ
- 図書館情報学,記録管理学を基礎から教育,従来の理論・手法を再検討
- これらを学んでない人,一方を学んだ人でも無理なく履修可
- 進路希望によって文系,理系どちらでもカリキュラムがこなせるように組んである。